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唐突だがネギが教育実習生になって一月が過ぎた、てか教師ではなく教育実習生だというのは後になって知った。

最初のぬらりひょん(Type−α)との会話でそう言われたらしい、俺は全く聞いてなかった。

その後なにやら色々有ったのだ、神楽坂に初日でいきなり魔法がバレたり、神楽坂の制服が吹き飛んだり。

神楽坂が一番被害を被っている気がしてならないが、出会ってからのインパクトが一番でかいからなのだろう。(ネギにとって)

あと惚れ薬なんぞ作りやがったのだこのガキ、おかげで逃げるのは大変だった。(最中の記憶は消えたから良いが)

その後にあったドッヂボールでは最終的に勝ちはしたものの、途中で魔法を使いそうになり最後には相手を下着にするし。

ネカネ、ネギの教育が間違ってたりしたのかもしれないぞ。何で武装解除を連発してくれやがりますか、アホ―ッ!

そしてこの間、夜になって月と星が綺麗な晩は散歩日和。勿論俺の、ネギのではなく俺の散歩。

今回はそのことを話そうと思う、月が満ちて星が煌くある夜の話を。俺が数人の人間に知られた時を。

毎回散歩から戻ってきたあとで近衛が眠そうに「おかえり〜」というのが実に印象的だ、本当は起きてんじゃないのか?






―――――じゃなくて、無意識レベルで全部気付かれてるのか!?






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Doppelt 〜The Another ネギま!〜          神鳴神薙

二話「最速の散歩と何かの始まり」









その日の晩は雲が一つとしてない綺麗な夜、満月が輝く時。こんな夜が俺は大好きです、佐々木ちゃん。(電波1)

夜中の0時丁度に起き出して窓の鍵に細工をする、帰ってきたときに閉められていないように。

服を着替えた後は窓から外へ、音を立てないように静かに、静かにひっそりと。香椎ちゃん並に(電波2)

俺の服装はありていに言えば黒尽くめだろう、髪と瞳以外という注意書きは勿論付くが。

何しろ黒のワイシャツに黒のスラックス、とどめとばかりに黒のロングコートを着ているのだから。

もし一般人に出会ったら通報確定だろう、俺だったら通報する。

更に言うなら見た目的には全く分からないようにして『あるもの』を携帯している、あまり武器とはいえないものを。

ネギ・スプリングフィールドに上記の服装をさせ、その髪を純粋な白に染め上げる。

その後鼻にかけているメガネを外して髪を下ろす、さらに瞳の色を刃金の銀色に染めて杖を無くせば俺の完成、らしい。

髪と瞳の色に関しては鏡で確認したのだが、はっきり言ってネギと似ても似つかない気がした。

色々な思考をしつつ今日はどこに行こうかと空を見上げ、森へと足を向けることにする。

月を見るのに丁度いい場所が森の中に在れば、贅沢をいうなら小高い丘が在ればいいと思ったからだ。

思い立ったが吉日と言うべきだろう、元々の俺は日本人なのだから。和菓子屋『佐々絵』の常連だったし。(電波3)

そして森へと踏み入ってどのくらい経っただろう、恐らく一時間程度のはずだ。

血の臭いがした、それほど鼻につくものではないが少々俺には気になる程度の臭いが。

興味本位でそちらに足を向けながら更に思考する、何が待っているのだろうか。出来ればダンスパーティを希望する。

辿り着いたそこで見ることが出来たのは異形、それも日本独特とも言える鬼、狗族、狐族、烏族。

その背後には西洋悪魔とも呼ばれる魔物が数体いるようだ、指揮官のような役柄と見る。

有体に言うなら雑多、ちょっと小難しく言うなら多種多様だろう。ある意味まぜこぜなのだが。

相対しているのは常に日本刀を帯刀している桜咲刹那と常に銃器を携帯している龍宮真名、ともにネギの生徒。

更につい今しがた煙となって消えていく鬼の側から移動した影、くの一(らしい)長瀬楓。

何がどうなってこうなっているのか意味も理由も考えも分からない、それでも生徒三人が不利と見える。

見たところ一番消耗しているのが桜咲、次いで龍宮、長瀬といった順番か、後者二人はどっちもどっちだが。

喋るのすら億劫だと言うように刀を構えて息を荒げる桜咲と、息を整えるようにして獲物を構える龍宮、長瀬。

一瞬、直感で感じたのだろう龍宮と長瀬が一気に後退、桜咲が遅れた致命的に。

「「刹那(殿)!!」」

二人が息を飲むのを感じ取り、桜咲がその目に絶望を映したのを確認して動く。

絶望と諦めを持ったものは容易く死ぬ、それは余りにも明確で単純な状況と答えなのだから。

上空から高速で滑空しつつ切りかかる烏族の刀よりも速く、桜咲を横から掻っ攫う。(お姫様抱っこで)

その形で抱えあげた理由を聞かれても無駄である、そのまま抱き上げただけなのだから。

で、結局空振りに終わって地面に刀を突き立てた烏族を銃弾とクナイが襲いあっさりと煙になる。

その光景を銃を撃った龍宮の隣で感心した声とともに見る俺、桜咲は抱き上げたまま。

俺の感心の声に反応してこちらを振り向く二人に曖昧な笑顔で対応し、桜咲を差し出す。

怪訝な顔で受け取る長瀬、龍宮はこちらに銃を向けているが蹴り飛ばしたくなるのを我慢。

「何で銃を向けてるのかね、この成長しすぎた中学生。もうちょっとその栄養を俺に寄越せ、主に身長の為」

「・・・・・・・・・・・・・貴方が味方だという保証が無いのでね、最低限は警戒させてもらうよ」

もっともな言い分だがいい気分ではないのは確かで、同じく警戒している鬼ども他。

ちょっとした挑発には乗らないのか、それとも乗りかけたけれども押さえ込んだのか。

桜咲は俺の腕の中にいた時は混乱していたらしい、長瀬に支えられて立った時に顔を紅く染め上げる。

何か有ったかと首を傾げて考えると桜咲が質問してきた、顔は赤いままだ。

「す、すみませんが、お名前は・・・・?」

一応だが戦場のはず、しかも向こう側の鬼どもの殺気が一気に膨れ上がった。

見ると龍宮と長瀬の顔が引き攣っているようだが、大丈夫なのだろうか。

「んー、俺の名前? ん〜・・・・そうだな、『エルプズュンデ』とでも呼んでくれ、今の俺にはそれが似合いだ」

一番最初にそれを思い出してその理由を理解し、つくづく救われないと理解して苦笑しつつそれを名乗る。

「『エルプズュンデ』、確かドイツ語で『原罪』を意味する単語だったはずだね」

答えたのは銃を握り冷汗を流す龍宮、長瀬はドイツ語と聞いて目を丸くしていた。

「博識〜、ついでに呼ぶ時はエルと呼んでくれ。えーちゃんもえっくんもエルエルも捨て難いが」

どうでもいいが長瀬の目って糸目から此処まで大きく開くんだな、驚きの発見だ。

そう思いつつ桜咲を見る、顔を赤らめて顔を逸らしつつ俺の名前を繰り返していた。

ちょっと不気味っぽいが日常生活に影響が無ければいい、鬼どもの近くにある日本刀は拾うべきだな。

そのまま足に魔力を集め瞬動(らしいが俺はよくわからん)、落ちている日本刀を手に取り後ろ向きにもう一回。

三人の近くに戻ったときに龍宮が「ほぅ」と声を上げていたが黙殺、日本刀を桜咲に渡す。

「とりあえず聞くが、現状打破かあいつ等の殲滅手段、どっちでもいいから持ってたりしない?」

『無い』

俺の問い掛けに三人唱和する形であっさりと暴露、鬼どもには聞こえていないようで幸いだ。

溜息を吐きつつ龍宮を見やる、それで理解したのか携帯電話を取り出し番号をプッシュして電話する。

「もしもし学園長、私だ。J−22で妖魔に接敵、殲滅しようとしたが数が多くて無理そうだ。援軍を頼むよ」

その電話が終わるのを待っていたのか、鬼どもが一斉に動き始める。おつむは弱そうだ、だとしたらどうなんだ?

「さて、まだ警戒を解くわけには行かないし信頼は出来ないけれど、手伝ってくれると言うことでいいのかな、ネギ先生」

「ネギ、ってそれは食い物だろ。とりあえず、俺は決め手に欠けるから囮以外に使い道はないとだけ言っておく。多少は手伝うさ」

「ムム、ネギ坊主ではなかったでござるか。てっきり髪を染めて『からーこんたくと』とやらを入れたのかと思ったのでござるが・・・」

「と言うかネギ先生などとは似ても似つかないだろうが、何で間違うんだ二人とも」

普通は本人か妹弟に間違うんです桜咲さん、一度眼科に行くことをお勧めしたいと思うぞあんた。

とりあえず未だに赤くなって睨んでくる桜咲はどうするべきか、そこんとこどうよと尋ねつつ囮をする。

いざとなったら小脇に二人抱えて一人背負って逃げるか、寧ろ今すぐ逃げたいのだが駄目?

烏族の剣と鬼の棍棒を避けつつ思考する、考え事をしながら避けるなんていつものことだ。

ふと思う、今日は満月だったなと。何でこんなに月を見て不安が膨れ上がるんだろう、なぞだ。

佐々木ちゃんのベットに居るらしいロップイヤーラビットくん、ちょっと佐々木ちゃんについて小一時間問い詰めたいな。(電波4)

思えばこの時にこの場から離脱するべきだった、そうでなければ後々あんなことにはならなかったのだから。

避け続けた挙句に桜咲を抱き上げて龍宮と長瀬と一緒になって逃げ惑う中、上空からそこそこな魔力を感知する。

龍宮も気付いたのか視線を空に向け、俺も空を見上げて口元を引きつらせることになった。

またもネギのクラスの生徒が二人、満月を背にして空に浮かんでいる。香椎ちゃん、男尻の写メはやめて(電波5)

確か名前は絡繰茶々丸とエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだったはずだ、間違いない。

だが色々と突っ込みたいことは多々あるのだが、背中と足裏のブースターからして絡繰ってロボ娘だったらしい。

「爺から連絡を受けてきたんだが、面白い状況になっているじゃないか龍宮」

「エヴァンジェリンさんかい、見てないで倒して欲しいね。あいにくこっちは弾切れ寸前なんだよ」

「拙者のクナイも手裏剣も品切れでござる、刹那殿も無理そうでござるし・・・・・」

そこまで話して視線は俺に、いやいや俺なんて無様に逃げるぐらいしか出来ませんぜ?

「ネギ・スプリングフィールドがいるじゃないか、どうして魔法を使わない」

「誰だそれ、というか俺は食べ物じゃない金髪ロリィ」

呆れたような顔をしながら側に降り立つエヴァンジェリン、鬼どもは何か気後れでもしたのか動かない。

ただ俺の台詞を聞いて額に青筋が一本、結構綺麗に浮き上がっているが高血圧なのだろうか。

「エヴァンジェリン殿、この方はえる・・・・なんでござったか?」

長瀬の言葉に桜咲を落としかける、覚えたんじゃ無いのかよあんた。

「エルプズュンデ、だ。原罪の名前を名乗ったネギ先生の身内だろうよ、ネギ先生を知らないみたいだがね」

ナイス説明だ龍宮、最初に言った成長しすぎた中学生と言う言葉は取り消そう。

「ついでに呼び方はエルで頼む。だが、どこぞの友人のようにえーちゃんと呼んでもらうのも捨て難い・・・

 それと銃使いの、少女・・・? 俺はそんな食べ物の身内なんかじゃない、訂正したまえ」

そうしていまだに桜咲を抱き上げたまま鬼へ視線を向けると、なにやら円陣を組むようにしてひそひそ話している。

耳を傾けると僅かに会話を拾うことが出来た、出来たのだが・・・・・

「どうするんじゃ、足止めされすぎじゃろう?」

「陽動部隊はどうしたんや、暴れとらんのか?」

「さっき術者が喚きながら伝令を寄越した、陽動部隊全滅だとよ」

「そうすると命令の遂行が出来んぞ? いっそ逃げるか?」

なにやら現状について話し合っているらしい、今この場で?

ふと空を見上げる、満天の中で自己主張しすぎている大きさの満月が少し次期の早い桜の花弁と協力している。

視線を下げて龍宮の隣、メイド服に身を包んだ絡繰の長身と特徴的な耳飾、ライムグリーンの髪は風に揺られている。

その左肩に腰掛けているエヴァンジェリンの金色の髪が、月光の中で金色に染めた絹糸のように輝く。

鬼どもは今この瞬間にもあの二人が攻撃するかもしれないのに、結構な余裕持ちらしい。

溜息をついたら腕の中の桜咲がびくりと震える、俺はドコカイケナイトコロヲサワリマシタデショウカ?

そんな思考とともに体が硬直しそうになるのを無理矢理和らげる、そろそろ立ち去りたいのだが駄目だろうか。

「ぼうや、さっさと魔法を使ってそいつ等を蹴散らせ。私はあまり魔力を使いたくないんだ、いいな」

断定の口調と言葉で睨みを聞かせつつ言い放つエヴァンジェリン、反論しようと思う。怠ける為に!!

「いや。坊やといわれる年齢ではあるけどあんたに指図される謂れはない、そして俺はあんたの知り合いじゃない。

 何より面倒だし、俺は攻撃魔法を習得してないし。ぶっちゃけ魔法なんて使えないしね、逃げる以外には」

シーンと静まり返るその場、話し合っていた鬼達までこっちを向いて呆けている。

「きさま、魔法使いではないのか? というか攻撃魔法を習得していないとはどういうことだ」

「魔法学校に通ってないから当然だ、そして俺は生徒じゃないし。と言うか、俺がやる意味すら分からんぞ」

エヴァンジェリンの言葉に答えを返して胸を張る、ネギは魔法先生だが俺は先生ですらない。

反則以外の何物でも無いの答えだろうが、二重人格の発展型はこういうところで便利だ。

「というわけで、さっさとあちらで律儀に待ってくれている鬼とその他大勢を倒してくれたまえ金髪幼女」

俺の言葉を聞いて更に額に青筋を浮かべるエヴァンジェリン、心なし最後の言葉で青筋が一気に増えた気がする。

「さっきから聞いていれば金髪ロりィだとか幼女だとか、どこまで私をおちょくれば気が済むんだ坊や。

 もう少し話し方と言葉に気をつけないといけないな、私はそれほど気が長くないんだ」

そう言いつつ氷の矢を『俺に』放ってくるエヴァンジェリン、迫る氷を避けつつ俺は更に言う。

「ならもう少し丁寧な口調で話してくれたまえベスト金髪ロリィータ。寧ろゴシック幼女キティちゃん」

よく言えば和洋折衷なその言葉とともにビタリと氷の矢が止まる、エヴァンジェリンは俯いて肩を震わせている。

悪く言えばごちゃ混ぜなその言葉で笑いでも取れたのかと思っていると、俯いていた顔が上げられて別な形で警鐘がなる。

上げられた顔には見ほれるぐらい綺麗な微笑みが浮かんでいた、俗に言う『コロス笑み』とはこの表情だろう。

「私を・・・・・私をどこぞの猫と同じ名で呼ぶなぁぁぁぁぁっ!! 『氷神の戦鎚』っ!!」

氷の矢を避けているうちに鬼達の中心に立っていたらしい俺、其処に向かって放たれた氷神の戦鎚。

俺にとってこれを避けるのは造作ないことで、簡単に言ってしまうと・・・・・いい具合に楽ができるということだ。

俺を中心としてかなりでかいその氷の塊、自然発生としては存在しない球状でぱっと見で直径10mぐらいだろうか。

まず間違いなくこの場の鬼とその他はこれで還るだろう、勿論俺は避ける。佐々絵の和菓子を食べるんだ!(電波6)

半径は長くても20m程度、俺にとっては瞬きほども掛からずに駆け抜けられる距離だ。

それを行おうとして足に力を込めた時、背中から何かが抱きついてきた感触を伝える。うむ、たぶんBだ。(なにが?)

『Key ignition.Shift in Low−Gear.Shift−up Second−Gear.』

背中の感触を無視して二速(セカンドギア)で跳び出しあっさりとその効果範囲から脱出、観戦している二人の側に着地。

一息ついた瞬間に腕の中から無駄に鋭い視線を感知、殺気とか殺気とか殺気とか色々混じっている視線だ。

「あ゛ー少女よ、何でそんなに見つめるんだ。穴が開くぞ、主に俺の眼とか額とか喉とか」

「でしたらその背中、いえ頭に登った雌狐を追い払ってください」

棘のある口調、というか頭に居る狐ってどいつなんだろうとか考えつつ頭の上に意識を集める。

確かになんか乗っかっているようだ、何時、何が、どうやって俺の頭に乗ったのか。

そう思っているといきなり頭が軽くなる、と同時に背中が重くなった。具体的には小学生一人分ぐらい。

「なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ」

「なにが言いたいんだかはっきりしないから繰り返すなド阿呆、てかなんで人様の背中に居やがりますか手前」

無駄に「なぁ」という言葉を繰り返す誰か、はっきり言って俺の知り合いにこんな変な奴は居ない。

「ウチのご主人様になってくれへんかー」

「どこからか苦情とともに欲しくない視線と評価がくだされそうなことをさらりとほざくな京狐」

みろ、桜咲の目が更に吊り上ったじゃないか。視線も無駄なまでの殺気が込められているし、どうしろと。

「んっとウチなー、呼ばれたはいいんやけど呼んだ奴に捨てられてんねん。せやからご主人様探しとったんや。

 んでさっきの戦闘(?)見とってあんたがご主人様ならええなー思ったん、やからご主人様なってーや?」

「もう少し寝言は寝て言う癖をつけたまえ狐君。ついでに言えば俺は弱い、攻撃からっきしだからな」

『とあるもの』は持ってるんだがいまいち使い方を知らないから使えない、持ってきてから気付いてどうするよ。

とは言え、俺が使えそうで攻撃手段を手に入れるにはこの『とあるもの』以外は向いてないし、どうするべきか。

「ええやんか、ウチが式になるきにご主人様なってやー?」

「駄目です駄目です駄目です、ええ絶対に駄目ですとも。さっきから聞いている限りこの人である必要性がないじゃないですか。

 それになんで貴方を式にしなければいけないのかすら話していないし、そもそもなんでこんなところにいるんですかあなた」

「んー、ウチもよう分からんわー。大丈夫やて、ウチはご主人様奪わへんから」

「証拠は?」

「ご主人様と離れてあんさんの側におる、でどうやの?」

「いいでしょう、不本意ながら一億七千歩譲って認めてあげます」

「おおきになー」

俺の意見と意思を無視した挙句に俺を挟んで勝手に決められてしまった、これっていじけていいのか?

「ほなウチに名前つけたってやー」

さめざめと涙しているところに話し掛けてくる狐(今は人の姿)、隣では膨れっ面の桜咲。

何故か勝手に進んだみたいだが名前をつけろと言われたのだし、つけたほうが良さそうだ。

もし断ったら、既に抜き放たれて帯電している桜咲の日本刀が振り下ろされることだろう。

「九幻(くげん)、九つの幻で九幻。通称は『お嬢』で行こう、なんとなく思い立っただけだが」

「ウチは九幻〜、白毛七尾の九幻〜、ご主人様の下僕なのー」

「頼むから誤解を招く言い方するな捌いて斬って刻んで擂り潰して鍋にするぞアホ狐」

由来が仙女の『九天幻女』なのは秘密にしておこう、でないと調子に乗るだろうこの狐娘(こむすめ)は。

ただでさえ尻尾が七本もあるのだ、かなりの力を持っているはず。九本でないのは僥倖?

いや、もしかすると殺生石自体から転生してきた本人(九尾)かもしれない、あの喜びようは想定外だ。

ともあれ、幾つか釘を刺しておこう。ついでに頼みごともしておくとしよう、後々楽をするために。

「お嬢、そこな少女「刹那です」・・・・・・刹那にあまり迷惑をかけるな、一般人の前で喋るな、あまり食い意地を張るな。

 以上が契約の必須事項だ、破ったら即破棄するかな。ついでに刹那の仕事を手伝え、これ命令」

「ええよー、ウチ刹那はん好きやからー!!」

音符とハートを語尾につけそうな勢いで喋りつつ桜咲に抱きつくお嬢、地の文で苗字を呼ぶのが俺だ。

自己紹介されてないし、名前しか教えられてないし、声に出して呼べるのが名前だけってどうよ。

でも桜咲以外は名前を一字も教えてくれないから呼べないし、これから先どうやって呼びかけろと?

とりあえずいきなり抱きつかれた桜咲はテンパり気味で混乱の極のようだ、盆踊り風に混乱中。

なかなかいい感じに壊れている、このまま帰るか。事態を収拾する気は欠片として存在しない、押し付け万歳。

「というわけで、刹那にお嬢は任せて俺は帰る、いや消える。また縁があったらどこか出会おうか諸君」

そのまま森の中をジグザグに逃走、幼女とメイドは素敵に華麗におざなりに置き去り。

だって息を荒げた状態でメイドに膝枕されているゴスロリ幼女、なんて素敵な絵面でしょう。魔力の使いすぎらしいがな。

暫らくして麻帆良都市全域に響き渡る怒声が確認された、当然声紋は金髪幼女のキティちゃん(仮)だ。

もしかしなくてもこの呼び方で揶揄えるのかもしれない、怪我の功名とでもいうべきなのだろう。

しかし、魔力を使いすぎた後にあんな大声が出るとは、金髪ゴスロリ幼女恐るべし。

まったくもっていい電波材料を手に入れたものだ、今度あの絡繰人形の・・・・何ていったか?

彼女も俺の陣営に引っ張り込むことにしたい、従者(メイド&執事)としてはご主人様で可能な限り遊ぶのが本懐の筈だ。

そんなことを思いつつ、学園歳の中央にある世界樹の名で親しい巨木の枝で月を見る。

「余は満足じゃ」

言いつつ手の中のコップを月に見せるように掲げる、中身は並々と日本酒が注がれている。

日本酒の銘柄は『春風』といい、日本では年に百前後しか出回らない幻と呼ばれる大吟醸酒である。

入手経路は勿論あの爺、麻帆良学園学園長近衛近右衛門の学園長室にある隠し部屋からだ。

因みに追記してしまえば許可など貰っていない、つまりパクって来たのである。

風が吹き世界中の葉がかすかに擦れて音を立てる、まるで自分も飲みたいというように。

それを受けて『春風』の瓶(700ml)を傾け地面に向けて残量の半分を零す、場所の提供料だと思えばいいだろう。

さっきより軟らかく吹く風が、世界中の礼の言葉の代わりのような気がして少し機嫌がよくなる。

この瓶を飲み干したら部屋に戻るとしよう、あまり遅くなったら明日菜に感付かれてしまうのだろうから。









『月と星を観客に、逢瀬の相手は巨木、なかなかオツじゃねえの?』







To be continued...?



あとがき

えっと、とりあえずテストにいたる過程は省略、原作と変わりません

変わるのはこのテスト編以降の予定、でもこんな話いれてよかったのだろうか

ちょっと心配になりつつもせっちゃんはイツリに一目惚れ、でも会うのは難しい

次いでとばかりに押しかけてきた七尾の狐、妖狐ですが九尾本人じゃない予定です

オリキャラっぽいですが出番無しがデフォ、修学旅行でようやく出場予定(でも未定)

そんな現状にちょっと怠惰な疑念が湧いてどこぞの無貌を焼いてみようと思い立つ

たしか「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがぁぐあ なふるたぐん いあ くとぅぐあ」

火を呼び出して、人を邪魔する乳デカスーツ女を焼却して続きに集中しようと一つ



追記・今回書いてみたかったのは「せっちゃんの一目惚れ」、これだけなのですよ

追記2・副題を募集します、選考と決定の権限は九十九さんに差し上げますよー




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