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魔法の本を探して辿り着いたのは地底にある図書室、しかも授業用品完備。

集中的な勉強はバカレンジャーと呼ばれる五人を人並みにまで変えた、たぶん、きっと、おそらく。

とは言え流石に二日間も風呂に入っていない為か、水浴びへと移行し始めた。

ネギはそうと知らずに話し声を頼りに近寄り水浴びをダイレクトに覗き見、既に覗きですらない。

そんな現状を嘆く俺を放り出して女性に興味ない、と関心なしの言葉をあっさり暴露。

嗚呼ネカネ、ネギは順調に父親に向かって成長しているよ。

女性の千人斬りとまで言われ、千の呪文を使うものといわれる、サウザンドマスター「ナギ・スプリングフィールド」に。

はっきり言ってなって欲しくないのだが、無自覚に追いかけている現状はどうにもならないかもしれない。

いつか笑って話せるようになりたいと思っている俺は、既に手遅れなまでに毒されているのだろう。

ネカネ、ネギがナギのようになるのを防ぐのはお前だけかもしれない。

いざとなったら従姉なんだ、結婚してでもネギに千人斬りをさせないように動いてくれ。













Doppelt 〜The Another ネギま!〜          神鳴神薙


第五話 「後編・図書館島脱出、悲劇は学園長+αと共に」














佐々木さんのところから何とか逃げ出すことが出来て暫らく歩くと、視界にはまた湖が映った。

さっきとは違う場所らしく、ホッと一息入れた所に影がさす。

「えっ?」

「は?」

思わず上げた顔の先、左の二の腕に包帯を巻いて手で胸を隠したアスナさんがいて、

「ごごごごごごごごごご、ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

思わず大きな声を上げながら回れ右、って言うかアスナさんって結構胸大きかったんだー。

『ネギ・・・・・・・』

逸理が頭を抱えて蹲るイメージを送ってきた、何かあったのかな?

アスナさんの誤解を解いた僕は一応とは言え着替えたアスナさんの腕の包帯を換えている。

ここに落ちる時に僕を庇ったためにこの傷を負ってしまった、魔法で治そうにも回復魔法はまだ覚えてない。

「「あの・・・・「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」えっ!?」」

何で僕を庇ったのか、それを聞こうとした瞬間に聞いたことのある声が悲鳴として届いた。

今のは佐々木さんの声かな? なにか・・・・・・・・もしかしてあの時の赤い光!?

アスナさんと僕が同時に走り出して辿り着いた時、その場には綾瀬さんたちも揃っていた。

僕が逃げてくる前に佐々木さんたちが水浴びしていた場所、その水の中で光っていた赤い光が一つあった。

水の中から出てきたらしいゴーレムは、ここに来る前にツイスターゲームで出会ったゴーレムの内の一体のようで。

その右手には佐々木さんが握られていて、でも佐々木さんはゴーレムの言っていることに突っ込む余裕を見せていた。

結構大きな悲鳴を上げてた筈なんだけど、もしかして佐々木さん余裕?

そう思っていたとき、綾瀬さんが大声を上げる。

「バカレンジャーの皆さん、あのゴーレムの首元に有るのは探していた魔法の本です。奪うです!」

「「オーケー、バカリーダー!!」」

同時、声を上げて答えたのは二人のバカレンジャー。

中国拳法を使う古菲さんとおそらく忍者である長瀬さん、でもバスタオル巻いただけの状態で大丈夫なのかな?

「中国四千年の歴史、いくアルよー!」

そう言った古菲さんは砂浜にもかかわらず大きな音を立てて踏み込み、右手を突き出す。

『一般人の割りにかなり強い震脚だな、あれは結構な威力の崩拳だぞ』

イツリが古菲さんの技を解説してくれた、イツリが何でそんな事を知っているのかは分からない。

次いで古菲さんはその勢いのままゴーレムの右肘を攻撃、開かれた手の中から長瀬さんが佐々木さんを助け出す。

「やっ」

同時に佐々木さんがどこからか新体操のリボンを取り出し手首で振るう、どこに持ってたんだか分からない。

『俺も分からん。どっかの誰かなら嬉々として胸の谷間とか言うかもしれないが、あの大きさだと難しいな』

佐々木さんのリボンは寸分の狂いもなく魔導書を絡め取り、ゴーレムが思いっきりうろたえている。

「とっちゃったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ナイスでござるまき絵殿」

「ナイスアルよまき絵!」

そのまま走り出してしまった、向かう先は不明のままだけどゴーレムが呆然として固まっている今はチャンス。

「着替えやよー」

コノカさんが佐々木さんたちに服を渡している、あの姿のままっていうのは流石に僕も辛いし。

『イギリス紳士の筈だろ、もう少し普通に成長してくれ普通に」

イツリが何かを言っている、僕は至って普通だと思うしちゃんと紳士として行動している筈なんだけど。

そんなイツリの言葉を頭の片隅に投げ捨てて、気になったことを聞いてみよう。

(イツリ、あのゴーレムなんだけど・・・・・学園長先生だよね?)

『たぶんな。俺の勘はあの不思議頭で間違いないと絶叫してるが、なにぶん変身魔法は知らないからな』

(変身魔法でもあんな風にひび割れまで再現する事はないと思う、きっと遠隔操作の魔法だね)

『なるほど。あの不思議頭の行動だとすると、俺達が外に出ないといけない時間になったと考えるべきか。つまり、外ではテストに間に合うぎりぎりの時間ということになるな、たぶん』

(わーい、睡眠時間ってありますかー?)

テストに間に合うぎりぎりの時間、つまり月曜日の朝なんだろうなー。

のんびりしていられないらしい、僕はまだ眠いのに・・・・・・・あ、書類が溜まってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!

『書類、今日提出期限の奴も有った筈だから・・・・昼食は悠長に食べていられないな、夕食のためにも』

(イツリ、学園長への贈物のバージョンアップは必須かな?)

『勿論だ。あの不思議頭め、ぢごく巡り六丁目〜赤ん坊から墓場まで〜コースに叩き込んでやる』

(そのコースは初耳だよ、内容は?)

『色とりどりの選ばれた鬼に囲まれながら五日間六丁目を観光するコースだ』

(その心は?)

『ウルトラまっそぉぼでーの雄鬼による色仕掛け目白押し+筋肉風呂』


(それで行こう!)

「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

ふと気がつくとワライが漏れていた、いけないいけない。

前を見るとアスナさんたちが滝の裏側へと入っていく所が見える、僕との距離は大体100mぐらいだろう。

どうやらかなり前からワライが漏れていたらしい、学園長先生のゴーレムもかなり後ろの方にいる。

僕が滝の裏側の通路を通って中に着くと、アスナさんたちはすでに中にある螺旋階段を上っていた。

ここに来るまでよりも距離が開いていることからかなりのスピードで登っていた事になる。

すぐさま僕も登り始めると後ろの入り口である通路を壊しながらゴーレムが突き進んできた。

振り切るようにしてスピードをあげ階段を上る、ゴーレムは肩で壁を削ってるし。

(学園長先生って、何を考えてこんな事をしてるんだろう)

『神楽坂たちが偶に壁か何かで止まってるようだが、細工があるんだろ不思議頭の事だし』

ふと過ぎった疑問をイツリに聞きながら駆け上がり、漸くアスナさんたちに追いついた。

アスナさんたちの前には理科の問題が書かれた壁が有り、綾瀬さんがその問題を解くと壁が動いて階段の先が見える。

『なるほど。復習問題が書かれていて、それの正解を言えば先に進めるというわけか』

ツイスターの時も思ったんだけど、学園長先生ってなにがしたいんだろう。

そんな事を考えながら進んでいくと道を塞ぐ問題が途切れたようで、そのまま駆け上り続ける。

途中綾瀬さんが転んで足を捻ったけれど、長瀬さんが背負って走っている。

「皆さん、携帯の電波が入りました! 助けを呼ぶので頑張ってください!」

どうやら地上は近いらしい、すると目の前に地上へいくらしいエレベーターがあった。

どうやら階段もここで終了のようだ、というか嫌な予感と嬉しい予感の両方を感じたのは何故?

「待つのじゃー」

どうやらゴーレムが追いついてきたようだ、アスナさんたちと慌ただしくエレベーターに乗り込む。

「ビィー―――――」

「重量オーバー?!」

「根性なしぃぃぃぃぃぃ!!」

どうやら重過ぎるらしい、と思った次の瞬間にはアスナさんが行動を起こしていた。

「皆、ほんの少しだけのオーバーみたいよ! 服脱いでっ!」

「ちょ、アスナさん?! 僕いるんですけど!!」

何で男の僕がいる目の前で服を脱いでいくんですか皆さん、というか脱ぐの早いですよっ!

「くっ、あとちょっとなのに!」

僕以外の皆さんが下着姿、イツリは体育座りのイメージを送って寄越しながら素数を数えている。

そんな皆さんの姿をなるべく視界に入れないようにエレベーターから降りた僕は、そのままゴーレムと対峙する。

「僕がゴーレムを止めますから、その間に皆さんは地上へ!」

このゴーレム一体をエレベーターに行かせない、それぐらいなら【戦いの歌】を使えば何とかなる。

と、いきなり襟首を引っ張られたと思ったら魔法の本がゴーレムに向かって投げられた。

「フォ?」

ゴーレムに魔法の本が当たると同時に扉が閉まり、エレベーターが動き出したようだ。

「皆さん、良かったんですか? 魔法の本、苦労して見つけたのに」

「確かに残念アルね。でもネギ坊主を残していくぐらいなら必要ないね」

「誰かが犠牲になるのは嫌でござるし、テストは頑張ってみればいいでござるよ」

古菲さんも長瀬さんも苦笑しながら答えてくれた。

「あれほど貴重な本は今後手に入るか分かりません、でもネギ先生を置いていくのは流石に・・・・」

綾瀬さんはかなり残念そうだけど、リフレッシュジュースドムスペシャルを飲みながらそう答えてくれた。

「ネギくんを置いていくよりもテストで0点取るのをとったんだよねー、テスト頑張ってみるから許して?」

そう言いながら綾瀬さんに謝っているのは佐々木さん、0点だって決まったわけじゃないんだけど。

「あんな本よりもあんたの方が大事でしょ? 残してきたらいいんちょも怒るだろうし」

「アスナは正直やないなー、ほんまはネギ君が心配やからなんやろ?」

アスナさんはちょっと赤くなりながらそっぽを向いて答えてくれて、コノカさんはそんなアスナさんをからかっている。

(イツリ、僕は結構慕われてると考えていいのかな?)

『いいと思うぞ?』

よし、こんな僕を先生として慕ってくれているんだ、なるべく心配はかけないようにしよう。

「でもネギ、あの笑いだけはやめて欲しいなーなんて思ってるんだけど・・・・」

アスナさんが恐る恐ると言った形で僕に言ってきた、笑い?

「あの笑いって・・・・僕、変な笑いなんてしましたっけ?」

「ああ、ネギが分かんないなら別にいいのよ。気にしないでちょうだい」

「?????」

ちょっとよく分からないけど、地上に戻ったらまず服を着て貰わないと世間体が・・・・

そんな心配をしていると小さな音と一緒にエレベーターが止まり、目の前にあったドアが開いていく。

ドアの向こうに見えている景色は夜空で、目の前の裏口の側には宮崎さんと早乙女さんが立っていた。

「ネギせんせー!! ユエ―!!」

「おお、やっと戻ってきたねー。もう日曜日の夜だからテストまで時間無いよー?」

テストに間に合ったけど書類の期限まで時間が無いや、覚悟は良いかな学園長先生。

「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・」

「ね、ネギ?」

ゆっくりと、ゆっくりと声をかけてきたアスナさんを振り返る。

途端、宮崎さんと早乙女さんが後ろ向きに倒れていき、アスナさんと古菲さん、長瀬さんが構えを取った。

その構えから一拍おいて佐々木さんと綾瀬さんがゆっくりと後ろ向きに倒れていき、慌てて古菲さんと長瀬さんが支える。

「どうかしましたか?」

「え、ええ・・・・ううん、なんでもないから気にしないでいいわ」

アスナさんに聞いても震えながら目線を顔後と逸らし取り合ってもらえない、何かしたのかな?

『近衛の奴、顔色一つ変えずに何時ものままで気絶したやつ等の世話をしてるし、なかなかやるな』

イツリの呟きは小さくて、僕自身は良く聞き取れなかった。








※・※・※・※








漸く地底図書館から抜け出せた、あの不思議頭には地獄でも美形ぞろいで有名な場所に行ってもらおう。

地上に着いたエレベーターを降りると早乙女と宮崎が待っていた、テストまで一晩しかないらしい。

そのことを早乙女の言葉から察したらしいネギがワラウ、なんか変な影響を与えすぎたらしい。

そんなネギのワライを直視したらしい二人が卒倒、一拍遅れて更に二人が気絶した。

ただし、そんなネギのワライを直視しながら気絶した四人を解放している奴がいた。

『近衛の奴、顔色一つ変えずに何時ものままで気絶したやつ等の世話をしてるし、なかなかやるな』

純粋に思ったことをネギですらあまり聞き取れない大きさで呟く、すると返事が帰ってきた。

『そんな事あらへんよー?』

ハラショー、実に素晴らしい才能をお持ちなことだこのお嬢様は。

此方が電波として送信していないにもかかわらず、小さな呟きであろうとも状況次第では拾う事が可能か。

内包魔力もネギよりデカイことだし、魔法を学んでいけば大成するだろう。

既に念話の最上級である電波を送受信できるのだから、才能だけで言えばネギにも劣らない。

もっとも、彼女が魔法を理解していないだろうことは垂れ流し状態の魔力で理解できる。

何故教えていないのか、これは親の方針か何かがあるのだろう。

其処にあえて言わせてもらうなら言おう、これだけの魔力を持ったのだから必ず争奪戦が起きて巻き込まれるだろう、と。

それを理解しているのかしていないのか、この現状なら最悪を考えて緊急時に発動する防御用のアイテムを持たせないと。

それすらしていないことから慢心が見て取れる、どんな状況でも自分達が護りきれるのだから必要ない、そんな感じだろう。

いまいち気に入らない、例えどんなに強くても油断すれば敗北するのが目に見えているというのに。

そんな事を考えていると寮の中の一室に全員が入っていく、これからお子様厳禁なことでもするつもりか?

と思えば机と座布団を引っ張り出してきた神楽坂により、バカレンジャーとその他の勉強会が開催された。

全員真剣に問題集や教科書の問題に取り組んでおり、ネギや成績上位の近衛が教えて回っている。

そして深夜になると一人、また一人と机に突っ伏したり後ろに寝転がったりして眠り始めた。

ネギを含めて全員が寝たことを確認し俺がネギと交代し、押入れから毛布を取り出して全員にかける。

最後にネギの分を持って元の位置の戻り、毛布を被って今夜の月を眺める。

流石に今夜は散歩を中止するしかない、ネギの身体自体がかなり疲労している為だ。

そうこうしているうちに眠気が襲ってくる、そのままネギを表に押し出して眠りについた。



俺が起きるとネギが魔法を行使する現場だった、こいつはなにをトチ狂っているのだろう。

『ネギ、もしかしてオコジョ決定済なのか?』

(イツリ、起きたんだね? でも寝起きでその発言は止めて)

ネギが半泣きで応えて寄越した、どうやらオコジョには成らないらしいので安心する。

(アスナさんたちがテストに遅刻しちゃって、気分をリフレッシュさせてみたんだ)

『なるほど、そのぐらいなら単なる風の悪戯で済んでばれ難いか』

(うん。それとこれから町のほうに行って購入してくる予定だけど、例の物の材料を教えてもらえないかな?)

『そうだった。寝かせる必要があるから早急に買い揃えないといけない、それを揃えるとC4を買えないのは痛いか』

さて、あの不思議頭を地獄でもっとも【素晴らしい】場所に招待せねば、寝かせる時間を考えると一週間後だな。

「『ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ』」

ゆっくりと街に歩みを進めるネギのワライ声が薄っすらと道に響き、周りから犬や猫をはじめ虫すらも姿を消した。

その日に買った物は誰にも触られないように厳重に保管し、俺達はテストで疲れた神楽坂たちと共に眠る。







一週間後、丁度テストの集計結果が発表されることになっていたらしい。

このランキングは平均点の高い順に順位が付けられており、トップを取ればネギが興味を持っていたトロフィーが手に入る。

競馬や競艇と同じ要領でトトカルチョが開催されており、かける食券と当たり判定の結果では暫らく昼食に困らない。

そして我等が2−A一本に食券を五十枚かけたギャンブラーがこのクラスに存在した、こいつ古い鉄の搭乗者並のギャンブラーだ。

そうこうしている内に放送部によるランキング発表が始まった。

が、やはりバカレンジャーを抱えていては無理なのか中盤に至っても2−Aは出てこない。

ネギの表情が段々と曇っていき、他の生徒たちも挙動がおかしくなっていく。

「ブービー賞は2年・・・・・S組です、次回頑張りましょー」

放送部のメインキャスターが言い終わったあと、ネギは少し困った顔をしてしまった。

『ネギ、最終課題は残念だった。だが、もう少し前向きに考えても見ろ』

(でも・・・・・・・・)

『いいか? 正式な教師にはなれなかった、それならそれで行方知れずの父親を探しに世界を巡ればいい』

(そっか。麻帆良をはなれるのは残念だけど、お父さんを探して殴れるんだ!

『そうだ。ということで、まずは荷物を纏めたあとに不思議頭に食事をしてもらって、そのあと電車に乗るぞ』

(うん! でも離れる前にアスナさんたちに別れぐらい言ってもいいよね?)

『当然だろう? 親しくしてくれたし、部屋に泊めてもらいもしたんだ。別れぐらい言うのは礼儀だろ』

(よし、がんばるぞー!!)

ネギのショックを軽減する事に成功したらしい、もっとも軽減しただけだから立ち直るのはもう少しかかるだろう。

マギステル・マギになる方法はこの道だけじゃない、詠誦できない高畑でもその称号を得たのだから。

少し遠回りしてもいいし、途中でいろんな人に触れ合って精神を育てるのもありだろう。

ただちょっと気になるのは俺の危険度の跳ね上がりだ、何しろスプリングフィールドのファミリーネームは血縁の最たる証。

サウザンドマスターが戦争に介入したのなら必ず恨みを買っている筈。

今までは味方が多数居たからあまり襲われる事は無かった、つまりネギは温室育ちの花に近い。

一歩外に出れば枯れるだけか、それとも根を張って適応していけるのか。

その辺りに対応できるまでは俺が交代して逃げ回るしかないだろう、それでもあまり外に出て入られない。

夜であれば三時間、昼間だとその三分の一が限度。ギアを使えば半分になるし、ウラ技使うとネギと強制交替だ。

正直なところをいうと、捕まらないように逃げ切るにはアマゾン辺りに逃げ込まないといけないだろう。

そんな事を考えているとネギが荷物を持ったまま駅に着ていた、どうやら荷物を預けるつもりらしい。

「えっと、駅員さんに荷物を預けて切符を買ってそのあとにg「ネギ――ッ!!」アスナさん?」

と、なにやら神楽坂が血相を変えて駅に飛び込んできた。他にも結構な人数いるようで、近衛を筆頭に確認できた。

「あんたそんな準備してどこに行くつもりよ!」

「どこって、まずイギリスのお姉ちゃんのところに帰って報告します。そのあとお父さんを探して世界中を飛び回る予定ですが?」

あっさりとした形で予定を告げるネギと絶句した神楽坂以下生徒一同、近衛だけは少し困った顔をしているだけだ。

「その前に学園長先生に渡すものを渡して、アスナさんたちにお別れを言う予定でしたが・・・・順番が逆になっちゃいました」

更に呑気な形で続けるネギに猛然と突っかかるのは神楽坂、他の生徒もどうにか引きとめようとしている。

「ネギ、そんなに簡単に諦めていいの!!?」

「そうだよネギ君、ちゃんと補習も受けるし授業もちゃんと受けるから、学園長に直談判しに行こう!!」

筆頭なのは神楽坂と佐々木、いいんちょこと雪広は血走った目でどこかに電話している。

「良いですか、ネギ・スプリングフィールドという少年はどの様な事をしてでも麻帆良から出してはいけません。最悪世界を脅迫してでも麻帆良に留めなさい、反対するものはねじ伏せても構いませんわ!」

どうやら頭のネジが複数抜け落ちているらしい、あとで締め直してもらいたい。

「ふぉふぉふぉふぉ、どうやら間に合ったようじゃのう」

「「「「学園長先生?!」」」」

唐突に不思議頭が紙束を手に持って登場してきた。あの紙束、どこかで見たような気がしないでもない。

「学園長先生、どうしたんですか?」(人の居ないところで食べさせる予定だったのに

「なに、先ほどの集計結果に付いてちょっとしたミスを儂がしてしまったようでな」

そう前置きをして話す事には、バカレンジャーたちを含めた遅刻組の採点をこの不思議頭が行ったらしい。

その上平均点を出す集計に間に合わず、遅刻組以外の生徒以外の分でクラス人数の平均点を計算したとのこと。

「学園長先生・・・・・・・・・・・?」

少し俯いた状態で僅かに期待を込めた声を出すネギ、周りはその期待が現状を覆すことへの期待だと思っているだろう。

(正式な先生になったらがんばるだけで、駄目だったらそのままお父さんを探しにいける。一石二鳥ってこのこと?)

どうやらちょっと打算的な考えを持ってしまったらしい、その内容はかなりもっともな事だから気にしないが。

そして発表される点数はかなり高得点で、バカレンジャーの平均も六十点を超えている。

その上で最終的な平均点を集計しなおしてみると・・・・2−Aが81.3点でトップに立った。

「「「「やったーーーーっ!!!!」」」」

周りが凄まじい盛り上がりをみせ約一名が食券長者という現実に目を輝かせている中で、ネギが俯いていた顔を上げる。

次の瞬間、音を立てながら凄まじいスピードで離れる神楽坂、どうやらネギの状態に気付いたらしい。

他のメンバーは気付いていないようだ、現状のネギがしているのが笑っているのではなくワラっているのだということに。

『うちも気付いとるえー?』

どうやら我等が電波娘こと近衛も理解しているらしい、その上であれだけはんなりと笑えるのも素晴らしいが。

「学園長先生、これは最後に渡そうと思っていたものなんですが・・・・」

感嘆するほどの笑顔で不思議頭へと羊羹を渡すネギ、神楽坂には笑顔がエガオに見えている事だろう。

「そうじゃったのか、すまんかったのう。で、これは貰っても良いのかね?」

「はい、元々学園長先生に渡す為に作ったものですから。でも他の人に上げたら駄目ですよ? 秘密ですから」

「うむ、頂いておこう」

にっこりと笑いながら握手しているネギと不思議頭、ネギはワライであるためにかなり浮いている。

そうしてその場は収まりクラスには花束のようなトロフィーが飾られる事になった。

その後の帰る場面、気付かれないように細心の注意を払って早乙女に羊羹を渡すネギ。

此方に着て一ヶ月、早乙女は人の迷惑を顧みない性格をしている事がわかっている。

この性格は単純に好奇心の塊であることを示しているし、こういった性格は他人の痴態を好む。

そう言った人物に心当たりが有った俺が別口として用意した羊羹、案内する先は不思議頭とは別な場所。

こうしてネギは正式に教師となり、新学期に3−Aとなってもそのまま担任を続ける事が決定した。

街灯で明るくなった道を歩きながら、神楽坂と近衛に混じってネギがゆっくりと寮に向かって歩いている。

(イツリ、正式な教師になったことを考えるとこれからが魔法学校の卒業課題の始まりなんだよね?)

『おそらく、としか言いようがないが当たっていることだろう。教育実習生ではなく教師をしろと書かれていたわけだしな』

日本で教師をしろ、卒業課題はそんな内容だったのだから教育実習生では意味が無い。

(マギステル・マギへの道は遠いね。けどその道を楽しみながら歩くのも大切、なんだよね?)

『楽しみながら歩くか、違う形で歩くかは当人次第だろうよ。其処に至れるかも分からないんだからな』

空に浮かぶ月を見ながら、ネギは考えている。

(急がず、慌てず、ゆっくりと目指すよ。お父さんを殴るのはなるべく早目がいいけどね)

『老人だと虐待に取られかねん、なるべく早く見つけたいものだ』

(とりあえず、いまは教師としてがんばってみるつもりだから、これからもよろしくね?)

『勿論、此方こそよろしく頼むぞ?』

笑うイメージをネギに送り、ネギは月を見ながら微笑む。

視界の片隅で神楽坂が顔を赤くしていた、どうやらネギの純粋な微笑みに惹きこまれたようだ。









『春風は平原へに吹き 夜風は月と星の下に吹く 願わくば 行く道に幸多かれ』












同時刻、学園長室において白目をむいて気絶している不思議頭が高畑により発見されていた。

また同時刻、女子寮の一室においてベットで眠る形を取って気絶している少女が居たが誰にも気付かれていない。

前者は現在、ワセリンで光り輝く兄貴に引き摺られながら地獄の六丁目、別名薔薇兄貴の苑へとその歩みを進めている。

後者は現在、麗しきお嬢様と共に地獄の九丁目へと歩みを進める、別名百合の花園といわれる美女の巣窟へ。

暫らくして病院へと緊急搬送され、その後目覚めるまでに十日ほどかかったらしい。

それから暫らくの間不思議頭は出会う全ての男性に、同人少女は身近な女性に拒絶反応を起こしたという。






これにて続くー






あとがき

なにやら今回は結構難しかった感じが否めない神鳴神薙です

今回はイツリの出現時間の制限に付いて、事前に質問を貰ったので僅かに盛り込みました

そういったことにかんして質問がきたので、僅かですがイツリに関して設定を下においておきます

テスト編というものが終了、次回はイツリと刹那他数名による夜の部の話を予定

導入を始めとした部分は決まっていますが中身が未定、一週間ぐらい内容を募集します

内容に関しては感想と同じ場所で大丈夫な筈、その辺は九十九さんの返答待ちで

なかなかギャグという部分がいまいちという現状に不満を持ちながらも、次回をがんばりまして一つ




イツリの設定(ちょっとだけver)

本名:捌~・逸理
読み:やがみ・いつり
性別:男

ネギと身体を共有している別人。表に出る時間は夜なら三時間、昼なら一時間となっている。
この制限時間、昼に二十分表に出たなら夜の制限時間が一時間減るという形でリンクしている。
ギア・シフト・システム(Gear・Shift・System)という技能を持っており、これにより自分のスピードを引き上げる事が可能。
ただし、制限時間の消費が半分になるというリスクが存在している。
それを含めたとしてもあまり目立つのは嫌いらしく長く人前に出る事は少ない。
基本的に逃げを前提にしており、躱す、受け流す、捌くといった行為はあらゆる攻撃に対応する。
例え神の攻撃だろうが必中必滅の攻撃だろうが、躱す、流す、捌くのどれかで避けきる自信があるらしい。
もっとも多い行動は「回れ右のち逃走」、主な思考は「三十六計逃げるに如かず」である。

・????
イツリが攻撃のために持ち歩く何か。使い方は我流で習得途中、暫らくしたら本編でもお目見えする筈。




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